

~ 聖書は信じるに値するか?(補足記事) ~
聖書選びに迷っている方への参考に、
「実際に読んでみた私の感想」をご紹介しています。
訳について「ざっくり知りたい方」~「もう少し踏み込んで知りたい方」まで、情報をまとめてあるので、
各自の必要に応じた部分を「飛ばし読み」する感じでOK!
「聖書を読んでみようかな……」と思われている方の中には、
「どの訳を選んだら良いんだろう?」と悩んでいる人も多いかと思います。
たいてい、有名どころの、
- 「新改訳聖書2017」
- 「聖書協会共同訳聖書 」or 「新共同訳聖書」
の2択になるかと思います。
ただし、少しずつ理解が深まっていくと、正しい原文(ヘブライ語・ギリシャ語)の訳を知りたくなってくる場合も人によってはありますので、
その他、個人的に読んだことがあるものを、ご紹介してみたいと思います。
【神の言葉の平原】 ― kami no kotoba no heigen ―
私たちの目に映る情景は、どのような「色メガネ」をとおして見るかによって、大きく変わってしまうものです。
「真っ黒なサングラス」
「黄色いレンズ」
「青いレンズ」etc……、
その色によって、受ける印象はだいぶ違ってきます。
さあ、今日は、この平原で過ごす最後の夜です。この先の厳しい旅に備え、今晩はテントの中で、この「色メガネ」についての認識を深めておきましょう。



※栄養素等表示基準値に基づき、脂質・飽和脂肪酸・n-6系脂肪酸・炭水化物・ナトリウム・熱量を除いて、すべての栄養素で1日分の基準値の1/3以上を含む。
「聖書の訳」に対する私の個人的な感想【10選】 ※ 50音順

回復訳聖書
【おすすめ度】 | ★★★ |
【読みやすさ】 | ★★★★★ |
【気になる点】 | ウェブ上では新約だけしか読めない。 |
【ルーツとなる聖書】 | R.V(改訂版聖書) |

「回復訳聖書」は、”ギリシャ語の原文に忠実な訳” であることを謳(うた)っている聖書です。
著名なクリスチャンである「ウォッチマン・ニー」の同労者であり、
彼の働きの跡を継いだ「ウィットネス・リー」による、詳細な解説(フットノート)が、各聖句に付されているのが、1番の特徴。
「新約聖書」の方のみ、ウェブ上にて自由に閲覧することができます。

King James Version(欽定訳聖書―きんていやくせいしょ)
【おすすめ度】 | ★★★★★ |
【読みやすさ】 | ★ |
【気になる点】 | 「ゲヘナ」と「ハデス」が混同されている。 |
【ルーツとなる聖書】 | T.R(テクストゥス・レセプトゥス) |
こちらは、西洋では歴史的に「最も親しまれてきた翻訳」の聖書となります。
イングランド国王「ジェームズ1世」の命によって翻訳されたことから「キング・ジェームズ・ヴァージョン」と呼ばれています。
初版は1611年と、と~っても古いのですが、その美しく格調高い文体から、現在でも多くの人に愛読されているそうです。
私も、気になった部分の「原文」をチェックする際には「キング・ジェームズ」と「Strong’s」を使っているので、良くお世話になっています。
極めて正確な訳として評価の高い「ティンダル訳聖書」から大きな影響を受けており、新約聖書にいたっては、その8割がティンダル訳のままだと言うことです。
しかも……、
- you(あなたは)→ thou(汝は)
- you(あなたを)→ thee(汝を)
- you(あなたたちは) → ye(汝らは)
といったように、古い表現で書かれているので、よけい取っつきにくいと言えます。
とは言え、とても素晴らしい訳なので「おすすめ度」は、最高ランクの★5としました。


口語訳聖書
【おすすめ度】 | ★★ |
【読みやすさ】 | ★★★★★ |
【気になる点】 | 特になし。 |
【ルーツとなる聖書】 | R.V(改訂版聖書) |
「口語訳」は、1955年に「日本聖書協会」より発行。
昭和30年発行なので、言葉づかいも気になるほど古臭くなく、読みやすい。
名訳と評される「文語訳」を継承していることから、1987年に同じ「日本聖書協会」から「新共同訳聖書」が発行されたのちも、愛用者が多いようです。
私も、クリスチャンになりたての頃は、他の訳と比較するために、よく利用していましたが、さほど「新共同訳」と変わらない印象を受けました。
そういう理由も含め、現在では個人的に、特段「口語訳」を読む必要性もさほど感じなかったので、おすすめ度は、★2としました。

新改訳聖書
【おすすめ度】 | ★★★★ |
【読みやすさ】 | ★★★★★ |
【気になる点】 | 原文に忠実とは言えない箇所もあり。 |
【ルーツとなる聖書】 | R.V(改訂版聖書) |
「新改訳聖書」は「新共同訳」と並んで、有名どころの1つであり、多くのクリスチャンたちに用いられています。
2021年4月時点では「新改訳2017」という版が最新版です。
私が「You Tube」にて、よく勉強させてもらっている「高原剛一郎さん」や「基督命(モトイトクメイ)さん」なども、動画の中で、この新改訳聖書を用いていらっしゃいます。

新共同訳聖書 & 聖書協会共同訳
【おすすめ度】 | ★★★★ |
【読みやすさ】 | ★★★★★ |
【気になる点】 | 原文に忠実とは言えない箇所もあり。 |
【ルーツとなる聖書】 | R.V(改訂版聖書) |
「新共同訳」は、「新改訳聖書」と共に、日本では代表的な訳の1つ。
ちなみに「カトリック」「プロテスタント」「聖公会」が共同で翻訳したことが、訳名の由来。
「聖書協会共同訳」は「新共同訳」から、31年ぶりに出版された新しい訳で、
「新共同訳」と変わりのない部分もありますが、新共同訳の「改訂版」ということではなく「1から翻訳し直したもの」という位置づけになっています。
この「聖書協会共同訳」は、”礼拝での朗読にふさわしい、格調高く美しい日本語訳” を主眼として翻訳されたものなんだそうです。
「プロテスタント」だけでなく「カトリック」でも用いられていることから、日本では多くのクリスチャンたちに読まれています。
私も、はじめて買った聖書が、たまたま「新共同訳」だったので、個人的に、この訳の聖書に最も親しみがあります。


「新改訳」との違いで言えば「第2正典*」付きのものがあるのも、大きな特徴の1つ。
カトリック教会では「正典」として正式に認められているが、プロテスタントでは「正典」として認められていない書を指す。共同訳では「旧約聖書続編」という名で、13の書が収録されている。

「共同訳系」の聖書を購入するなら、こちらがオススメ、というものを表にしてみましたので参考になさってみてください(すべて「旧約聖書続編」付きのものです)。

【新共同訳】 | ・標準タイプ | ・「カラー資料」付き |
【聖書協会共同訳】 | ・小型版 | ・中型版 |
※ スマホの場合、横にスライドできます!
新契約聖書(永井直治訳聖書)
【おすすめ度】 | ★★★★★ |
【読みやすさ】 | ★★ |
【気になる点】 | 「新約」のみで「旧約」は無い。 |
【ルーツとなる聖書】 | T.R(テクストゥス・レセプトゥス) |
新契約聖書、通称「永井訳」は、牧師であった永井直治氏によって翻訳された聖書となります。
長年の聖書研究の末、1923年(昭和3年)に自費出版されました。この「永井訳」は……、
- 『代表的日本人』
- 『後世への最大遺物』
などの名著で有名な、内村鑑三氏が大プッシュしている聖書であり、永井訳聖書の「序言」も彼が書いています。
私も好きな訳本の1つなのですが、やはりネックは、その「読みにくさ」です。
昭和3年発行ということで「旧字体の漢字」がバンバン登場し、”〇〇なり”、”〇〇ざるべし” 的な、古い言い回しが使われています。
人によってはそれを……、
- 格調高い
- 美しい日本語
- 厳かな雰囲気がある
と感じるかもしれませんが、現代においては、やはり「万人向け」とは言いがたいかと思います。

以前は「明治学院大学」のサイト内で、自由に閲覧でき、私もよく翻訳の参考に利用していたのですが、残念ながら現在は見れなくなってしまったようです。

田川建三訳聖書
【おすすめ度】 | ★★★★ |
【読みやすさ】 | ★★★★★ |
【気になる点】 | ・訳者が「神を信じないクリスチャン」を自称している。 ・「新約聖書」のみで「旧約」が無い。 |
【ルーツとなる聖書】 | T.R(テクストゥス・レセプトゥス) |
この「田川訳」は、新約聖書全体がまとまった形で出版されたのが2018年なので、「文語訳」や「永井訳」などと比べれば、ごく最近、完成した訳本だと言えます。
比較的最近の訳ということで本文も読みやすく、何より「T.R」をルーツとしている点が最大のポイントですが、
訳者の田川氏は、チャペル(礼拝所)にて「神は存在しない」と公言するなど、クリスチャンとしては「?」といった人物のようです。
1970年には、当時勤務していた国際基督教大学から「造反教官」として追放されてもいるとのことです。


TR 日本語訳聖書
【おすすめ度】 | ★★★ |
【読みやすさ】 | ★★★★ |
【気になる点】 | ・誤字脱字が結構ある。 ・印刷の質が荒い。 |
【ルーツとなる聖書】 | T.R(テクストゥス・レセプトゥス) |
こちらは「Eternal Life Ministries」が発行している聖書で「永井直治訳聖書」を現代語訳したものになります。
訳文そのものは読みやすいのですが、他の訳本に比べると「印刷の質」が悪く、ページによって文字の濃さが違っていたり、かすれていたりするので、気になる方は気になると思います。

それゆえ「読みやすさ」は★1つマイナスとし、「誤字脱字」があるのも残念な点でしたので「おすすめ度」は★3つとさせていただきました。
文語訳聖書
【おすすめ度】 | ★★★ |
【読みやすさ】 | ★★ |
【気になる点】 | 言い回しが古く、ルビがないと読めない。 |
【ルーツとなる聖書】 | R.V(改訂版聖書) |
正式名は「舊新約聖書(きゅうしんやくせいしょ)」。

1887年(明治20年)に翻訳された「旧約聖書」
+
1917年(大正6年)に翻訳された「新約聖書(大正改訳聖書*)」
* プロテスタントの宣教師たちが「明治元約聖書」を改訳したもの。
を組み合わせて収録したものが、いわゆる「文語訳」と呼ばれている聖書です。ちなみに……、
1887年に訳された上記と同じ「旧約聖書」
+
1880年(明治13年)に発行された「新約聖書(T.R)」
との組み合わせを「明治元訳聖書(めいじもとやくせいしょ)」と呼んでいます。

文章に品格があるので個人的には好きなのですが、先ほどの「永井訳」同様、やはり現代においては万人受けする訳ではないため「読みやすさ」は、★2としました。
とは言え、Amazonのレビューを見ると分かりますが、その格調高い文章には、今もって根強い人気があります。
「現代では失われてしまった、美しい日本語に触れてみたい!」という方は、
”名著と名高い「古い文学作品」を読んでみる”、というスタンスで、1度、読んでみてはいかがでしょうか?
■ 格調高い、美しい日本語の【文語訳聖書】 |
・「新約聖書」+「詩篇」 |
・「新約聖書」 + 「旧約聖書」 |

リビングバイブル
【おすすめ度】 | ★ |
【読みやすさ】 | ★★★★★ |
【気になる点】 | 平易な文章に特化する分、意訳が多くなされている。 |
【ルーツとなる聖書】 | R.V(改訂版聖書) |
こちらは1971年に、はじめは「英語訳」として出版されたものです。

特徴は何と言っても、その「読みやすさ」にあります。なぜなら、この訳は……、
- こども。
- 教育を受けていない人たち。
- 聖書に馴染みがない人たち。
といった人たちのために、とにかく読みやすく、噛み砕いたような言葉で訳された聖書だからです。
Wikipediaによれば、全体の31%もの部分が「意訳」されているのだとか。
原文を忠実に訳すことよりも「全体の意味」に重点を置いて翻訳されたもの。ようするに「こういう意味だろう」という訳者の思想が入ってしまっているということ。
ですので、用い方としては……、
「聖書って、どんなことが書いてあるんだろう?」
と思われた方が、”試しに少し読んでみる” ていどの気持で読んでみるのが良いでしょう。
裏返せば、”本格的に読むには適していない” ということです。

翻訳について知っておくべきこと | 現代の新約聖書のルーツについて


では、現在、日本で使われている訳本が、どのような過程で成立したものなのか少し見てみましょう。
以下の内容は「Eternal Life Ministries」さんの情報を出典としております。さらに詳しく知りたい方は、上記ミニストリーズのホームページをご参照ください。
【聖書の訳】神が保存してきた写本「T.R」
17世紀に、最も信頼できる写本として用いられてきた「T.R(テクストゥス・レセプトゥス)」を元にして、
「King James Version(キング・ジェームズ・ヴァージョン = 欽定訳。以下、K.J.V)」が翻訳されました。
ところが、18世紀に入ると、それを改定しようという動きが一部の人々の間で起こり、
「R.V(Revised Version = 改訂版)」という名で、大きく改訂されてしまいました。
しかし、この働きの主導者であった「ウェストコット」と「ホート」という人物は、進化論を支持し、「イェシュアの神性」と「聖書の霊感」をも否定していた人物であり、
さらに、心霊術などにも関わるなど、カルト的な面を持ち合わせた人物だと言われています。

彼らは英国国教会の指示に反して事を進め「K.J.V」をまったく異質のものへと替えてしまったのだそうです。

この「R.V(改訂版)」は……、
- 90% → バチカン写本
- 7% → シナイ写本
- 2.5% → アレクサンドリア写本
- 0.5% → 初期の大文字写本
を土台として翻訳されているとのことですが、
「バチカン写本」「シナイ写本」は、ある言葉が削除あるいは付け加えられていたり、置き換え、修正などの改ざんがなされており、その改ざんの数は……、
- バチカン写本* → 7578語
- シナイ写本** → 9000語以上
にもなる、と言われているとのことです。
また、この2つの写本は、現存する写本全体の99%と異なっており、写本同士でも整合性がないそうです(逆に99%の写本は合致しており、T.Rと呼ばれている)。
1475年に「バチカン図書館」で発見されたもので、キング・ジェームズ版聖書の翻訳者たちにも与えられたが、途方もなく改ざんされていたため、退けられた。
1844年にコンスタンティン・ティッシェンドルフにより「聖カタリナ修道院」で発見されたもので、バチカン写本同様、多くの改ざんがなされている。現在、多くのクリスチャンが用いている新約聖書は、このバチカン、シナイ写本を元に訳されている。
【訳本の真実】現代版聖書の多くが「R.V」をルーツとしている
20世紀に入ると、この「R.V(改訂版)」を土台として「ネストレ・アーラント版」「UBS版*」が作られました。

UBSは「バチカン(ローマ教皇庁)」と協定を結んでおり、現在「カトリック」で用いられている聖書も、上記の2つの版が土台となっているそうです。
United Bible Societies (聖書協会世界連盟)。UBSは、設立当初から「ユニテリアン派(イェシュアの身代わりによる贖いや、三位一体、聖書の無謬性を否定している人々)」の影響を強く受けており、エキュメニカル運動を推進している団体でもある。

これら2つの版の編纂には……、
- リベラル派*
- エキュメニカル派**
の人々が関わっています。
プロテスタントの一派で、聖書を一言一句信じるのではなく「神話」や「伝説」が混じった書物だと見なしている人たちのこと。
全教会を統一させようとする運動(エキュメニカル運動)を推進している人たちのこと。一見すると、正しい運動のようにも見えるが、他の宗教とも一致しようという極端な考えの人たちもおり、そこまでいくと「非聖書的」と言わざるを得ない。
ちなみに……、
- N.A.S.V(ニュー・アメリカン・スタンダード版)
- N.I.V(ニュー・インターナショナル版)
- N.K.J.V(ニュー・キングジェームズ版)
- N.R.S.V(ニュー・リバイズド・スタンダード版)
- E.S.V(イングリッシュ・スタンダード版)
- H.C.S.V(ホルマン・クリスチャン・スタンダード版)
なども、「R.V(改訂版)」が土台となっています。
現在、多くの日本のクリスチャンが用いている聖書は、上記の「ネストレ・アーラント版」「UBS版」を元に(原本、底本として)訳されているものです。
【神の保護】「T.R」を元に訳されている聖書たち
このように、多くの「バチカン・シナイ写本系」の聖書が出回る中「T.R」を元に訳されている聖書の一部として、以下のようなものがあります。
- ルター聖書(マルティン・ルターの翻訳したもの)
- ティンダル聖書(ウィリアム・ティンダル*の翻訳したもの)
- King James Version(欽定訳)
- 明治元訳聖書(めいじもとやくせいしょ)
- 新契約聖書(永井直治の翻訳したもの)
- エターナル・ライフ・ミニストリーズが発行している聖書
- 田川建三訳聖書

宗教改革の時代に、聖書を「ギリシャ語」「ヘブライ語」の原典から初めて英訳した人物。しかし、当時は聖書の自由な翻訳や出版が禁じられていたため、異端とされた。カトリックの弾圧によって大陸に亡命後、1536年に捕えられ焚刑(ふんけい = 火あぶり)にされ、殉教した。
多くのクリスチャンは「R.V(改訂版)」が「K.J.V(欽定訳)」の改訂版、あるいは改善版であるかのように思っており、
聖書本文が「T.R」のものから「バチカン・シナイ写本」の本文へとすり替えられてしまったことを知らずにいるのだそうです。
そしてこのことは、牧師さんについても例外ではないのだとか。なぜなら多くの聖書学校では、このようなことを教えないからなんだそうです。
ここまで、長々と述べてきましたが、簡単にまとめてみましょう。

「バチカン写本」&「シナイ写本」&「アレクサンドリア写本」
⏬
「 R.V(Revised Version=改訂版、改訂訳聖書)」
⏬
「ネストレ・アーラント版」&「UBS版」
⏬
「現代版新約聖書」
(回復訳、口語訳、新改訳、新共同訳、聖書協会共同訳 etc……)
† 私たちは多くの人のように神の言葉を改悪せず*、誠実な者のように、また神に属する者のように、キリストにあって神の御前で語っているのです。
* あるいは「歪めず」
第Ⅱコリント 2:17(K.J.V + Nagai)
神に敵対する霊的な勢力が「神のことば」を恐れ、私たちにその力を知られまいとビクビクしていることを思えば、改ざんという形で「神のことば」が攻撃を受けることは、当然のことだとも言えるでしょう。
参考:『人生とはスピリチュアルな戦いである。究極的には誰も助けてはくれない』
【結論】聖書の訳って、結局どうすりゃいいの!?
しかし私は「現代版聖書」を否定しているのではありません。
現代版聖書も同様に霊感の吹き込まれた「神のことば」であり、私自身も「新共同訳」や「新改訳」を通して、
これまでも、そしてこれからもクリスチャンとして成長させていただいているからです。
一方で神は、長い歴史を通して、正しい聖書の本文が損なわれてしまうことのないように守り、「T.R」という形で、今日まで御言葉を保存してきたのだということも、知っておきましょう。
長くなりましたが、私個人の結論を言えば……、
「新改訳」や「新共同訳・聖書協会共同訳」をベースとして用い、必要に応じて「King James Version」や「永井訳」あるいは、ヘブライ語の原文の意味をチェックできる「Strong’s」などを参考にする形がベストなのではないかと、現時点では考えています。
【おまけ】聖書の訳によって、実際にどのような違いがあるのか?



【R.V / 改訂版】
† 心の貧しい人々は、幸いである。天の国はその人たちのものである。
マタイによる福音書 5:3(聖書協会共同訳)
【T.R / テクトゥス・レセプトゥス】
† 霊において貧しい人々は、幸いです。天の御国は彼らのものだからです。
マタイによる福音書 5:3(King James Version)
「R.V / 改訂版」系の訳本では「心」と意訳されていますが、
ここでイェシュアは「心の活力を失っている人々」や「心のバランスを崩してしまっている人々」は幸いだというように、精神的な領域のことを語っているのではありません。
人は……、
- 体(魂・霊の入れ物のような物)
- 魂(精神の部分)
- 霊(本体の部分)
の「3層構造」でできているというのが、聖書的な理解ですが、精神とは「魂」の領域のことです。
ここでは「魂」よりもさらに深い領域である「霊」について語っているのです。つまりイェシュアは、
「霊的に打ち砕かれ、もう神に頼る以外に成すすべがないような状態にある時、実は幸いなことなんだよ」
ということを言っているのです。
なぜなら、多くの場合、かたくなな私たちは、そういう絶体絶命の状態にでも陥らない限り、神に立ち返ろうなどとはしないからです。
【R.V / 改訂版】
† 子たちよ、神の国に入るのは、なんと難しいことか。
金持ちが神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通るほうがまだ易しい。
マルコによる福音書 10:24~25(聖書協会共同訳)
【T.R / テクトゥス・レセプトゥス】
† 子たちよ、富を頼りとしている者が神の国に入るのは、なんと難しいことか。
富める者が神の国に入るよりも、らくだが針の穴を通る方がまだ易しい。
マルコによる福音書 10:24~25(King James Version)
「R.V/ 改訂版」系の訳本では「富を頼りとしている者が」という言葉が削除されています。
旧約を読むと「アブラハム」も「ダビデ」も相当の財産家であったことが分かります。
しかし彼らは「富」を頼りとするようなことはせず「神」にのみ、より頼んだので義とされたのです。
このように、”財産を持つこと自体は決して悪いことではない”というのが、聖書的な教えなのに、
「富を頼りとしている者が」の部分を削ぎ落としてしまうことで、まるで財産を所有すること自体が「悪」であるかのようなニュアンスを与えてしまっているのです。

【おまけのおまけ】オススメの「聖書の訳」の原文チェックサイト


(1)STEP(部分的に日本語で表示されているので、扱いやすい)
【使い方】
・最上部の「ESV 🔻」をクリックし、「English」を選択。
・英語訳の中から任意のものを選択し「OK」をクリック(オススメは、KJV)。
※ はじめは「 ESV 」が選択されている状態なので、クリックして選択を解除しておく。
・次に、最上部の「創1 🔻」をクリックし、調べたい書を選択。
・テキスト上の調べたい単語にカーソルを合わせ、クリックすると、右側に原文の情報が表示される。
※ 右クリック ▶「日本語に翻訳」を使うと、いちいち英語の意味を調べなくても良いので便利です!
(2)Bible Hub(すべて英語なので、すこし慣れが必要)
【使い方】
・最上部 左の「Gen」をクリックし、確認したい書を選択。
・次に、最上部 まん中の「1:1」をクリックし、確認したい章と節を選択。
・最後に、最上部 右の「Bible」をクリックし「Strongs KJV」を選択。
・テキスト上の調べたい単語にカーソルを合わせ、クリック。 原文の情報が別ウィンドウで開かれる。
まとめ
- 現代版聖書の訳には「T.R」をルーツとしたものと「R.V 改訂版」をルーツとしたものがあるが、後者は多くの改ざんがなされていると言われている。
- 聖書と真剣に向き合いたいと思うのであれば、現代版聖書の多くが「R.V 改訂版」を元に訳されていることを、頭の片隅にでも入れておくべし。
- 「新改訳」や「聖書協会共同訳」などをベースにし、必要に応じて、ネット上で閲覧できる「King James Version」や「永井直治訳」を参考にするような形がオススメ。
いかがだったでしょうか?
今回は、現在私たちが読んでいる「新約聖書のルーツ」を知るために、かなり込み入った内容となってしまいましたが、
「こういった情報を必要としている方もいるかもしれない」と思い、まとめてみました。
では最後に、訳本選びに迷っているあなたへ、先輩クリスチャンの言葉を贈って終わりにしたいと思います。長い記事を最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
「聖書には多くの翻訳がある。しかし、この世で最も素晴らしい聖書翻訳があるとしたら、それは自分の生活を通して聖書の御言葉を実践することである。」
R・A・トーレー
Maranatha Grace Fellowship より引用

『聖書の民「ユダヤ民族」について | 彼らが背負った重大任務とは?』は、下のリンクから!
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