しかし、先にいる多くの者が後になり、後にいる多くの者が先になる。
マタイによる福音書 19:30(新共同訳)


~ 聖書は信じるに値するか? No.18 ~
「ユダヤ民族について & 彼らが選民と呼ばれる理由」
について、お伝えしています。
ユダヤ民族(ユダヤ人)と聞いた時、まず「迫害の歴史」をイメージされる方が多いのではないでしょうか?
しかし、一方で、この民族は「選民(神に選ばれた民)」とも呼ばれています。
実は、この聖書を書いた民でもある「ユダヤ民族」は、人類史にとって「鍵」となる重要な存在ですので、ユダヤ人に興味がなかったとしても、ぜひ知っておいてほしいと思います。
それでは、出発しましょう。
【選民たちの荒れ野 ― senmintachi no areno ―】
枯渇した河床に目をやりながら、長い長い吊橋をわたり切ると、景色は一変しました。
大地は、瑞々(みずみず)しい装いをはぎ取られ、目につく緑もまばらです。
ここからは、かつて荒れ野で40年もの間さまよった「ユダヤ民族」に思いを馳せながら、歩を進めていきましょう。



※栄養素等表示基準値に基づき、脂質・飽和脂肪酸・n-6系脂肪酸・炭水化物・ナトリウム・熱量を除いて、すべての栄養素で1日分の基準値の1/3以上を含む。
【基礎】人類史上最大のベストセラー「聖書」を書いた、ユダヤ民族とは?



聖書の民「ユダヤ民族」の超ざっくりした歴史
聖書に書かれた「ユダヤ民族」の歴史の流れを、かなり大雑把に言うと……、
アブラハムの孫「イスラエル」と12人の子たちがエジプトに移住。
⏬
奴隷状態であった子孫らがエジプトから脱出し、カナンの地に定住。
⏬
ソロモン王のあとに、王国が南北に分裂。
⏬
アッシリアの侵攻を受け、北の「イスラエル王国」が滅亡。
⏬
バビロニアの侵攻を受け、南の「ユダ王国」も、ほぼ滅亡。
⏬
バビロニアが滅び「ユダ王国」が再建される。
⏬
A.D70年、ローマ帝国の侵攻によって首都「エルサレム」が陥落し、ユダヤ民族は世界中に離散。
⏬
A.D1948年、約1900年もの時を経て、イスラエルが奇跡的に再建。


ちなみに、北の「イスラエル王国」の人々はアッシリア人に連れ去られた後、行方が分からなくなってしまいました。
それがいわゆる「イスラエルの失われた10支族」です。


上で見たように、厳密な言い方をすれば……、
「北イスラエル王国の人々」
||
「イスラエルの民」
「南ユダ王国の人々」
||
「ユダヤの民」
なので「ユダヤの民」と「イスラエルの民」は、必ずしも同一の人々を指すとは限らないのです。
ただし、どちらも「イスラエル」という同一の祖先の血を引いたものとして、広い意味で全体を「イスラエルの民」とも呼ぶこともあります。
聖書の民「ユダヤ民族」の【特徴】
ユダヤ人 =「ユダヤ教を信じる者」もしくは「母親がユダヤ人*」が、条件だからです。
* かつては「父親がユダヤ人」という条件でしたが、とても悲しい理由から、父親を特定することが困難な場合が多かったため「母親がユダヤ人」というふうに、条件が変えられたのたそうです。
なので、ユダヤ人にはさまざまな「皮膚の色」「髪の色」「目の色」の人たちがいます。
つまり「肉体的な特徴」でユダヤ人を見分けることはできない、ということです。

ユダヤ民族の「特徴」として、以下のようなものが挙げられます。
- 勤勉
- おしゃべり(議論好き)
- 教育を大切にする(教育水準が高い)
- 家族や親族を大切にする(情が深い)
もしかすると、人によっては……、
「ユダヤ民族」=「ユダヤ教徒」=「ガチガチの宗教的な人々」
と考えている方もいるかもしれませんが、もちろんそんなことはなく、世俗的なユダヤ教徒の方も、たくさんいるそうです。
「スマホ」や「インターネット」などのハイテク機器を嫌い、
労働が禁止されている「安息日」には、働くことはもちろん*、車の運転や、火を使うこと、エレベーターのボタンを押すことさえ「タブー」とされているんだとか💦
* そもそも、多くの男性が、働かずに一生をトーラー(旧約聖書の一部)を学ぶことに費やす。近年では「安息日」以外の日に働く男性も割といるそうです。



「嘆きの壁」で祈りを捧げる、超正統派の人々

「黒スーツ」「黒い帽子」が特徴
ユダヤ民族は「排他的、閉鎖的」というイメージが持たれがちですが、むしろ、特定の居住区に追いやられ、”閉鎖的にさせられていた”のであって、
「旧約聖書」を読んでみるならば、彼らがその教えにあるように、居留民たちに対してむしろ「開放的」でさえあることが分かります。
参考文献:「トケイヤーのユダヤ格言集」ラビ・M・トケイヤー 三笠書房
ユダヤ民族が、なぜそれほど重要なのか? | 聖書が示す彼らの重要な役割

意外に思われるかもしれませんが、さきほど紹介した、ユダヤ教の「超正統派」の人々は、再建された現在のイスラエル国家を認めていません。
なぜなら、イスラエルは「メシア」によって再建されるものであり、人の手によって再建されるべきものではないと考えているからです。

「メシア??」という方は、以下の記事を参考になさってみてください。
参考:『聖書とは、ひとことで言えば「メシアについての書物」である』
なぜなら、神から離れ……、
- 偽り
- 不正
- 犯罪
- 戦争
こういったものが蔓延してしまった世界を、再び、立て直すと預言されている人物こそが「メシア」だからです。
メシアは聖書の中で「預言」という形で、数千年にわたって予告されてきました。”その予告を記録する役目” を与えられたのが「ユダヤ民族」でした。
クリスチャンたちは……、

と言っており、一方、ユダヤ民族の方々は、

と言っているわけですが、興味深いのは、彼らが「メシア」を拒絶することすら、そもそも預言されており、
しかも、その拒絶によって、かえって「メシア」についての情報が、ユダヤ民族以外の「異邦人世界」に大いに広まる役目を果たしたことです。

参考:『ユダヤ教の指導者たちを困惑させるメシア預言【イザヤ書53章】』
ユダヤ民族を用いた、聖書の神の「壮大な計画」
この記事の冒頭に挙げた聖句の「先にいる多くの者」とは「ユダヤ民族」を、「後にいる多くの者」は「異邦人 = つまり私たち」を指しています。
つまり、メシアのことなんか全く知らなかった私たちが、むしろ先に彼のことを受け入れ、
聖書を通じてどの民族よりも「メシア」について知り尽くしていたはずの「ユダヤ民族」が、後から受け入れる形となる、という意味です。

そう。聖書には、やがて「ユダヤ民族全体」が、”自分たちの刺し貫いた者こそが、メシアであった ”とを悟ることが預言されているので、
先の聖句のように、彼らも最終的には受け入れることになるのです。
そして聖書には、やがて、選民である「ユダヤ民族」と「異邦人 = 全世界の人々」との区別はなくなり、メシアによって「世界中の人々」が救われるとも預言されています。
このように神は、”ユダヤ民族の拒絶” すらも、むしろプラスへと変じ、この世界を立て直すための壮大な計画を、長い歴史をとおしてここまで押し進めてきたのです。
神の国は、最も完全な自由の国であって、強制された服従や機械的な服従を望まず、民族でも個人でも強制的により良きものに向かわせるよりは、むしろ彼らの間違った道を勝手に歩かせるのである。
このような見方に立ってのみ、世界史の歩みなり、そのゆるやかな進歩なりが説明されるのである。
『幸福論(第二部)』 ヒルティ著 草間平作 訳 岩波文庫
私が決定的だと思うのは、人類の記憶が始まって以来、他のいかなる民族よりも古くから存在する一つの民族が存在することである。
人類全体が腐敗のうちにあるが、それを修復する御方がやがて到来するという告知が絶え間なく人間に伝えられてきた。
それを伝えるのは一人ではなく無数の人間、いや一つの民族全体、四千年にわたって預言を行い、そのためにわざわざ形成された民族であり、
その後四百年にわたって世界中に分散した彼らの書物、そして偶像も王も持たない彼ら自身の存在だ。
あの方の到来以前は、ある民族がこぞって彼を予告し、到来以降は別の民族がこぞって彼を崇拝する。それらのことを吟味すればするほど、より多くの真実が見いだされる。
『パンセ(中)』 パスカル 著 塩川徹也 訳 岩波文庫
まとめ
- 正確には「ユダヤの民」=「イスラエルの民」とは限らないが、同一の祖から出ているものとして、広い意味で両者を「イスラエルの民」と呼ぶこともある。
- 「ユダヤ人」 =「ユダヤ教を信じる者」 or 「母親がユダヤ人」が条件なので、”皮膚や瞳の色” 等でユダヤ人を見分けることはできない。
- ユダヤ民族を全体として見た場合「勤勉」「おしゃべりが好き」「家族や教育を大切にする」などの特徴がある。
- 「黒いスーツ」と「黒い帽子」に身を包み、人の手によって再建された、今のイスラエル国家を認めていない「超正統派」と呼ばれる人たちもいる。
- ユダヤ民族とは、聖書という形で「神の言葉」を記録 & 保持し、メシアという存在を「全世界の人々」へと告げ知らせる役目を神から付与された重要な民族。
いかがだったでしょうか?
今回は、聖書という書物を知る上で重要な「鍵」となる「ユダヤ民族」について、簡単に見てみました。
しかし、この民族がたどってきた「苦難に満ちた歴史」を真の意味で理解するには、スピリチュアルな視点が必要となります。
次回は、そのあたりにスポットを当ててみたいと思います。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

『【真相】ユダヤ人が、世界中で迫害され続けてきた真の理由』へは、下のリンクから……💤
K 【真理探究の旅】~ 聖書は信じるに値するか? No.19 ~ この記事では……、「ユダヤ人迫害の歴史と、その真の理由」について、お伝えしています。 「ユダヤ人って、なんであんなに嫌[…]

いっちば~ん上の 右にあるハンバーガーメニューから
これまでの「真理探究の記事 一覧」のページに行けるみたいよ。